エスペ戯言3

・ガルムの目的が達成されていたら

もしガルムの目的が達成されて、奴が世界樹の理を手にした場合。

その場合はガルムは神王クレイムディアと同じ至高の干渉者として世界を自在に出来ますが、そうなった世界はどうなるか。

答えは『才能を持つ者がいない世界』になります。

これも多分どこかで言っていたと思いましたが、彼は才能のない凡夫です。彼が現在のような欲望に取り憑かれた原因は嫉妬。つまりは天賦の才能を持つ者がいたから。

だから自分が作る世界ではそんな人物が一切いない世界にする。

ようは『エスペランサー』がいない世界。全員がただの凡人であり凡夫の世界を作る。

これはある意味、神話の時代に彼自身が味わった苦肉の感情に対する世界への意趣返し。

まあ、今となってはその目的もどうでもいいと思っていますが。

で、その世界にした後はもう彼は何もする気はないでしょう。神になったと言っても惰性の果てに目的も果たしたんで、あとは魂の寿命が尽きるまで惰性でその世界を眺めるだけ。

思ったよりもそんなディストピアにはなりません。

ガルムのことだから世界荒廃して、生き残った人類もボロボロな北斗の拳のような世紀末の世界にすると思われますが、そこは彼の人間性を分かっていない者の答え。

ぶっちゃっけ、あいつは世界を掌中に収めてもそこからどうこうする気もありません。というか、もはや起きない。どうでもいい。

じゃあ、上も下もないから、案外いい世界なんじゃないのか?と思われますが、そんなことはありません。この世界になった時点で人類は詰みます。

なぜなら、世界に刻まれた『魔王』や『魔族』、『魔物』や『魔王の呪い』といったものは残っているからです。

これに関してはガルムが至高の干渉者になってもどうにも出来ません。いや、正確にはやろうと思えばどうにかできます。それこそヴァイスと同じように手間ひまかけて世界のリセットすれば。しかし、あいつがそんなことするわけがありません。

目的を果たして、全人類を自分と同じ凡夫にしてそこで終わり。だってあいつはヴァイスと違って人や世界がどうなってもどうでもいいから。

そして、エスペランサーがいない(生まれない)世界では人は魔族や魔王の呪いには勝てません。遠からず人類は絶滅し、何らかの魔族や魔王、『魔王の呪い』を継承した奴が世界を滅ぼしエルドラシルを解放して終わり。

それがガルムが統べる世界の終わりです。ちなみにガルムも世界の終わりと同時に「あー、私が統治した世界の終わりもこんなもんかー。はー、無価値だったわー」と感じに一緒に終わります。

やっぱこいつの目的が達成されたらロクでもねえな。

 

・ルティ編ラストのティオンの目的

これよく勘違いされているのですが、あのティオンは別にフィナの願いのために世界を滅ぼそうとしたわけではありません。

きっかけはフィナの願いですが、ヴァイスと完全に同化することで、その目的と世界に刻まれた原罪やバグの数々、更には『確定されし滅亡』が迫っていたことに気づき、それを回避するために世界のリセットを行うことを決めたのです。

それが結果としてフィナの願いを叶えることにもなるということですね。

あとこれも過去の日記で散々言っていますが、リセットされることによりこの世界に刻まれた原罪や『魔王の呪い』が消えるのでフィナのような犠牲者が二度と生まれない世界になる。ということでもあります。

ちなみにヴァイスが行おうとした世界のリセットは一瞬で世界と人間全てが消えるのでそこに痛みもなにもありません。これもヴァイスなりの慈悲。

次に目が覚めた時は原罪なき楽園に全員転生している感じですね。

(まあその楽園が構築されるまでは数百年かかりますが、人間からしてみると消されて転生までは一瞬の出来事ですね)

おそらくいろんな作品でよくラスボス系が「救済された世界」とか見せますが、大体そういう世界ってどこかしらに欠陥とかがあったり、幸せに見えても不幸せみたいな部分がありますが、ヴァイスのこれに関してはマジでそういう欠陥ないです。

なぜならヴァイスのこれは「世界を本来正しい形」に戻しているから。

今のエスペ世界は神王が勝手なシステムをいじって、世界システムを改変したり、干渉者が生まれたり、魔王の呪いや魔族が生まれたり、世界にいろんな原罪が生まれているからです。

本来のエルドラシルが生み出したエル=ユーナにはそんな穢れはなく、永劫の楽園の世界であったからです。

なので、ヴァイスの救済って単に世界を「本来の姿」に戻してるんですよ。つまるところ何度も言っているリセット。

だからこそ、エスペランサーではヴァイスが世界を救済した世界を見せていません。なぜなら、それはエスペ世界の理想の世界=答えとなってしまうから。

もうそれが生まれてしまうとエスペランサーの物語が進まないから。

製作者の視点から言うと、その世界では物語が生まれる余地がないんですよ。マジで平和すぎて。

強いて言えば、その数百年後に星王イシュタルが侵食に来てエスペランサーセイバーの世界になりますが、希望の軌跡編とか、そういう物語が生まれる余地がないからなぁ…。

まあでも、エスペ世界に住む人達からすれば平和に暮らせるのが一番なんでやっぱヴァイスの目的が達成されるのがいいんでしょうが製作者としては、その後の世界はもっとボロボロになって阿鼻叫喚な物語を紡いでほしいので、そうはいきません。

なによりも希望の軌跡編という続編(地獄)が待っているので……ニチャア

まあ、なのである意味あそこでティオンが勝っていた方が世界的には幸せだったし、確定されし滅亡も防げたんですよねぇ。

これもグレストが見ていた結末の一つであり、確定されし滅亡を防げた結末。

なので、実はこのルートのミレス先輩の死って「一見意味があるようで意味のない死」だったんです。なぜなら剣聖=ティオンによってもたらされる世界の救済=確定されし滅亡の踏破はミレス先輩の死が無駄になることで果たされるという矛盾。

しかし、ルティがミレス先輩の死を価値あるものにしてしまったので、逆に世界が存続し自分たちで確定されし滅亡を乗り越えないといけなくなってしまった。

こーれ皮肉ですね。

 

・ミレス先輩の予言

ということでミレス先輩の「剣聖のために死ぬ」。

これは結局ルティとティオンどっちのことか。

結論:両方

ただグレストも言ってるようにその状況(ルート・世界線)において、その比率や重要性は多く変化します。

ルティ編では言ったようにルティのために死ぬことによって、最後ルティが世界を存続させます。

しかし、先程も言ったようにこれは見方を変えるともうひとりの剣聖ティオンのためにミレスの死が「無駄な死」になった場合は、ティオンが世界のリセットを完了させるので、それによって世界は救われ、確定されし滅亡は防げます。

ぶっちゃけグレストからしたらルティ編のミレスは「無駄な死」の方が良かったんですよ。だって、そのほうが100%確定されし滅亡を防げるから。

でも、ルティが「無駄ではない死」として受け取ったので、「今の世界」のまま確定されし滅亡を乗り越えるしかなくなりました。もちろん、グレストはそのための準備もしていたので「それならそれでOK!」という感じで自分達で確定されし滅亡を乗り越える手段を続けます。

で、ティオン編の場合はミレスの役割は剣聖ティオンのために命をかけること。

これもティオン編のミレス先輩の活躍を見れば明白ですね。

ティオン編でやたらとあの人が死亡フラグ立てまくっていたのも、自分の役割に徹していたから。

結果、ティオン+ルティをラストのフォルクスの戦いまで導くことが出来ました。

で、実はこの時、グレストは「ミレスが死なない未来」を見ていたのです。

それがティオン編のこのルートだったのです。

しかし、このルートの結末にたどり着くにはミレスが「自分の命を賭す」覚悟を持って戦い続けることが必要不可欠でした。

どういうことかというと、ラストの戦闘でミレスを出していた方はわかりますが、彼はすでにフォルクスとの戦いに行き着くまでボロボロでした。仮にあそこで勝っても右目に埋め込んだ狂戦士の瞳の呪いで死んでいたでしょう。

ですが、それをフォルクスが破壊したことでミレスは生き残りました。

なぜか?

それはミレスが「自分の命を顧みず最後まで剣聖のために戦い続けたから」。

フォルクスはそのミレスの信念の高さに敬意を抱き、お前はまだここで死ぬには惜しい。と活かしてくれたのです。

もし、ここでミレスに「自分が生き残りたい」とかいう打算があれば、フォルクスはそれを見抜き、ミレスを助けることはしませんでした。

フォルクスがミレスを助けたのは100%他人(剣聖)のためだったから。そこに利己はない。

なので、最後の戦闘でミレスへのセリフにフォルクスのレスがあったのです。ちなみに他にレスがあったのはルティ・ティオンの両剣聖とオシリスだったかな?

なんか人によってレスする・レスしないのって大手ツイッタラーのTwitterあるあるみたいで草生えますね。

ともあれ、グレストはこれを知っていたからこそ「お前は剣聖のために死ね」と冷酷な命令をくだしたのです。

もしここでグレストが「けど、助かる道もある」みたいな希望を言っていたら、ミレスはそれに縋ります。結果、そうした利己が透けるので最後にフォルクスの救済がなくなるのです。

一見冷酷に見えたグレストによるミレスへの予言ですが、実はグレスト自身、ミレスには助かって欲しいと願う部分もあり、そのためにあえてこのように冷酷な予言を告げたのです。

もっともそのミレスが助かる未来も何万分の1という可能性ですが、それにたどり着けたのがティオン編のラストの世界線になります。

命を捧げると決めた剣聖ルティに対して、命を捧げた場合、ミレスはそのまま死亡し

逆に剣聖ティオンに対して、己の使命として割り切って殉じた場合、ミレスは生き残る。

こうなるとミレスってやっぱりルティよりも、ティオンのために行動したほうが正解な場合が多いですね。これもまた本人の気持ちからすると皮肉なところですが、知っての通り作者はそういう皮肉な運命や結末が大好きな人なので、これはこれでいいかなと思っております。

あ、ちなみにミレスはグレストの孫にあたります。

グレストの息子がパルティアなので、その子がミレスなので、めちゃ血縁ですね。

なので、ミレスに想うところがあるのは当然です。

とはいえ、今の彼は世界のために感情を切り捨てているので、孫すら世界の未来のためにと捨て駒にしますが。

ちなみにこれを若い頃のグレスが今のグレストを見たら「クソだな」と罵倒します。