エスペ戯言4

・ルティ編ティオン編のラスボスの目的

今回は今までとちょっと変わって「ゲーム的な視点からのお話」

ここでの過去の戯言などを見ている方はもう周知の事だと思いますが

ルティ編のラスボスであるティオン、ヴァイス。ティオン編のラスボスであるフォルクス。この三人の目的は同じです。

ようは「確定されし滅亡」を自分たちの手段で乗り越え、世界と人類を未来に繋げること。

細部はちょっと違いますが、おおまかな部分は一致しています。

なので実は両ルートのラスボスの思想ってほぼほぼ同じなんですよ。これはゲームを作っている際、また公開時もその設定は組んでおりました。

では、なぜティオンやヴァイスは作中で明確にそれを喋らなかったのか?

まあ、これは本人達の性格的な部分もあります。ヴァイスに関してはひねくれ者ですからねぇ、素直に伝えたくない部分もあったのでしょう。

神の塔でのヴァイスのあれは「そういう面」もある程度の語りなんですよねぇ。実際、母親に対して思うところもありますが、母親が人類を愛しているのは知っているのでヴァイスは母の遺志を尊重しています。ヴァイス自身も結局は人間が好きなので、そんな彼らの未来が確定で滅亡するなんてことを口にはしたくなかった部分もあるのでしょう。

ティオンもそんなヴァイスの想いを少なからず受け取っていたので「確定されし滅亡」に関してはあくまで匂わす程度で結局真意は胸のうちのまま語らずに終わっています。

で、ここからはゲーム的なメタ要素になると

ぶっちゃっけルティ編でヴァイスとティオンがその目的を言ってしまうと、ティオン編ラストのフォルクスの目的全部言っちゃってるのでネタバレになるので言わせたくなかった。です。

いやー、これがねー。ゲーム作る際の製作者の変なこだわりというか、ゲームならではのデメリットというか。

仮にルティ編でティオンやヴァイスがこのことをぶっちゃっけると、ティオン編のフォルクスの行動も全部「あーはいはい、ヴァイスやティオンの二番煎じねー。知ってたからー」ってなるので言わせたくなかったんですよ。

まあ、これも今思えば今更ですけどね。というか、多分ですけど用語辞典をよーく見て考察してた人なら、なんとなく気づいてましたかね。

まあ、そんなわけでティオン編の最後にフォルクスの口からこれを言わせることで「ああ、もしかしてヴァイスの目的もそういうことだったの?」と繋げたかったのです。

ですが、実は三人の最終的な目的は同じですが、それを達成した未来へのビジョンはまったく違ったりします。

 

・三人の目指す未来

まずヴァイスの目的というか、彼の目的が達成された世界では「確定されし滅亡」は防げて、更に「魔王」や「魔王の呪い」と言った世界に刻まれた汚染の除去。神王が施したシステム改ざんやバグなどを治して、世界を本来あるべき正しい形に戻すこと。

一度世界から人間や世界は全部消えますが、これらは数百年後に大陸は『漆黒の天宮』による再生で復元し、魂は『約束の地』にある『魂の海』により転生されるので今いる人間とまったく同じ数に復元されると考えてOKです。

ルティ編最後のティオンもこれと同じ考えだったので二人の考えと目指す未来は同じです。で、問題はフォルクス。

 

実はフォルクスの実現しようとした未来はヴァイスが目指す未来よりも悲惨になっています。

なぜかというとラストに覇王の聖殿にある『隔離』で聖地アルアデックだけが浮上し、その他の世界は全て滅ぼすという極端な救済だったためです。

で、これが実行された場合人類の9割は消失します。その後はフォルクスが選んだ人類のみが生き残るというものですが、前にどこかで言った通りこのやり方でも「確定されし滅亡」は防げます。が、防げるのはあくまで「確定されし滅亡」のみです。

その他の災厄や世界に刻まれた呪いはそのままです。

なので生き残った1割の人類はその後も世界に再来するであろう「魔王」や「魔王の呪い」と戦い続ける運命にあります。

これも世界システムに刻まれた「争い」という「原罪」がそのまま「魂の海」に刻まれているので、生まれてくる魂(命)達も未来永劫戦い続けるという宿業が刻まれております。

まあ、だからこそフォルクスは「それでも戦い続けられる人間」を最後に選別しようとしたんですが。

こうやって見ると実はフォルクスの方がはるかにスパルタというか、割りと容赦ないです。

「確定されし滅亡」はこれで防いでやるがその後の人類存続は残ったお前たちの力で維持せよ。

ヴァイスに比べると人間に厳しいフォルクスですが、それもそのはず。だって彼はヴァイスほど「人間を愛してはいません」。

ゲーム中だとそうは見えませんが、彼が一貫して認めているのは「信念を持った高潔な人間」のみです。

これは先日のミレスの記事でも語ったようにフォルクスが生かしたいのはあくまでもそうした価値を持った人物だけ。それ以外はわりと容赦なく粛清してます。

これもそのはずでありフォルクスが本来愛しているのは「世界」そのもの。それは現状のエルドラシルが維持する世界ということであり、仮にそれが神王や魔王によって汚染されたものだとしても、今の世界のあるがままを受け入れているのがフォルクスです。

まあ、それを受け入れられないのがヴァイスなので、両者は決して交わらないのですが。

それはともかくフォルクスからしたら、全人類を抹殺して世界を維持するという形をとってもよかったのです。

では、なぜそうしなかったのかというと答えは「アークに頼まれたから」です。

これもラストに呟いていましたが、彼が世界だけでなく人類も活かそうとしたのは親友であるアークにそう頼まれたから。それがなければフォルクスは全人類は殺して世界だけを生かすという選択も全然取ってます。

なので、ぶっちゃっけ言うとフォルクスは人間を愛してはいないのです。

フォルクスが愛していたのは「アーク」というたった一人の人間。その人間への誓いを守るためだけにあの黄昏の戦役を起こして生かすべき人類の選別を行ったということですね。

 

ゲーム中だとフォルクスが人間に甘く、ヴァイスが人間嫌いで人間にぞんざいに扱っているイメージがありますが、実は逆なんですよねぇ。これ。

振り返ってみるとゲーム中でもヴァイスが直接人間を手に掛けるシーンって実はそんなにないんですよね。

ルティ編のルティから剣聖の力を奪ったあれも、あくまで力を奪うのが目的で殺すつもりはありませんでした。

その後、フィナを返り討ちにしたのも襲われる前に先手を打ったという、一種の正当防衛になります。

あとはティオン編で現世に戻ってきた時、マクスウェル幹部に干渉者の力を与えて自爆させたくらいか…?(レイドはシステムなので)

まあ、作中の描写があれなのでやたら外道に見えますが。果たしてゲームクリアした何人がヴァイスの本質に気づけたのか……もっとこの辺、ちゃんと説明したほうがよかったかなぁ?とも思いますが、あんまりこうしたキャラの内面を作中で語るのもあれなので、なかなか難しいですねぇ。

ちなみに作中で人間殺しまくってるのって、大半がグラドやヴェイゼア、ガルムと言った黙示録の獣達ですね。フォルクスもロータルランド公国滅ぼしたり、結構やることやってます。