エスペ戯言10
■マクスウェル初期の10体(ビギニング・テン)
というわけで、前回の記事を踏まえて、ここではマクスウェル初期の被験体、とりわけ全シリーズの中でも特に優秀とされた初期の10体を見ていきましょう。
被験体01:「始まりの魔王」アバドーン
被験体02:「囁きを聴く者」ニナ
被験体03:「剣聖の写身」アークレプリカ
被験体04:「覇者の御影」ミュウ=マクスウェル(当主だったためマクスウェルの名を授かる)
被験体05:「赤の干渉者」ロート
被験体06:「空の偽帝」エデンレプリカ
被験体07:「海の歌姫」ノアレプリカ
被験体08:「地の暴君」エルドラードレプリカ
被験体09:「不死の騎士」ベルセルス
被験体10:「???」ユベリウス=マクスウェル(当主)
というわけで上から順に見ていくと、まず被験体01アバドーン。
こいつは言わずもがな、神祖の魔王アルトサウディウスのレプリカのためNo.1にもかかわらず、その能力は歴代の中でもずば抜けています。
まず滅びの疵のみの継承かと思わせて、こいつは他の五大魔王が有する呪いの他にも色々持っており、合計5~6個くらい持ってるんじゃないですかね?
シスターリリスから生み出されたとはいえ、最初がこれとか当時のマクスウェルの凄さが分かりますね。
次に被験体02のニナ。
こいつは他のNo.に比べると大したことないと思われがちですが、そんなことはありません。こいつの能力実は干渉者という視点で見ると、とんでもないのです。
まずニナが持つ「人の悪意の声を聞く」能力。これの能力範囲が実に世界全体を覆うほど。それだけの共鳴能力はどんな干渉者にも不可能なほどです。
悪意の声限定ってのが、かなりのマイナスですけど、それでも本人ですら気づいていないトラウマや過去の悪行すら聞く(吸収)出来る能力は化け物です。
ちなみにこの能力は人間だけではなく、世界そのものにも及び、世界の声や、そこに刻まれた悪意の記憶も読み取ることが可能です。
後にヴァイスがこの能力を受け継ぎますが、これによって彼は現在の世界が神王によって書き換えられた世界だと知り、魔王によって世界樹の理そのものが汚染されているのを知り、本来のあるべき世界に戻そうとしたのです。
つまりヴァイスに世界の真実を教えるきっかけとなった能力なので、ニナのこの能力はまさにエル=ユーナに大きな影響を与えています。
なので干渉者に近づくというマクスウェルの当初の目的からすると、このニナはかなりその理想に近かったのです。
あとニナ自身の戦闘能力も相当高いです。この悪意の声を聞く能力もニナ自身から吹き上がる悪意を抑えるために、外から吸収するように与えられた能力になりますが、当初の生まれたままのニナは湧き上がる悪意に身を任せる完全な殺戮者であり、これもようするに神祖の魔王に近づけようとした結果ですね。なのである意味、純粋な殺戮者であり、魔王が持つ純粋な欲望の理に近づけようとした結果になります。
あとニナは狂戦士の瞳の持ち主でもあるので、そのため本来は思考することない純粋な殺戮の化身だったのですが、それはマクスウェルの目的ではなかったというわけです。
割りとニナに関しても語っていない設定が多々あるので、この辺もその内詳しく語りたいですね。
次の第3、第4も言わずもがなの性能ですね。
この二体を生み出した時期というのが、アークとフォルクスの決着後だったので、両者の血液サンプルを取って生まれたのが、アークのレプリカとフォルクスのレプリカのミュウ。
春剣でも「フォルクスのレプリカがいるのに、アークのレプリカはいないの?」と思った人もいるでしょうが、ちゃんといます。というかほぼ同時に作られました。
ただこの時コントロールがうまく行ったのがミュウだけでした。第3被験体の方は制御不能で危険分子として封印されました。
で、その後、満を持して第5の赤の干渉者ロートの完成。
ぶっちゃけ、こいつでもうマクスウェルの研究完成じゃね?というくらいの完成度です。
ただ、こいつもある意味では失敗作になります。なぜかというとあまりに「完成」に近かったから。
どういうことかというとマクスウェルの目的はあくまでも、あいつらが神になること。
しかし、この第5被験体はあろうことか自分が神になろうとしたんですよね。
まあ、こいつのオリジナルを考えれば当然の結果ですが。なので、マクスウェルが「あ、こいつやばい」と封印しました。
で、その後の6~8は前回の通り、三王のレプリカ。正直、こいつらもかなりの強さです。
第1が魔王、第3が初代剣聖、第4が不敗の覇王とか。これだけでもオールスターなレプリカなのに、その後に三王のレプリカとか、本当にマクスウェルはどんだけとんでもないもの作っているのやら。
ちなみにこいつらも性能はピカイチですが、その性能の高さと、オリジナルに反映された性格に問題が有りということでこの三体も封印。
正直、ここまで見れば分かりますが初期のマクスウェルの被験体って能力を特化させるあまり、コントール出来る被験体が全然いないのですよ。
唯一出来たのが第4のミュウくらいなのです。これはまあ、元となったフォルクスの性格の影響もあるんでしょうね…(あの人、武人ですし)
なので、第9、第10ではこれまでのようなピーキーな能力を抑えめに、もう少しコントロール可能なものにしようとしました。
それが第9と第10。この二人もほぼ同時に作られました。
第9は一見すると制御不可能に見えますが、それを制御するために第10が作られました。
この第10はこれまでの被験体の例を踏まえて、被験体をコントロール出来る被験体を生み出そうということになったのです。
なので、当時のマクスウェルの当主が自らを被験体へと変え、その能力をテストするために第9を作り、コントロールに成功。
これによって、後のシリーズも当主である第10が制御して、ようやくマクスウェルの時代が来たぞー!ってところで、はい。本部が滅茶苦茶になりましたと。
それにしても改めて初期の10体を見ると、こいつらだけで五大魔王に張り合うというか、それ以上の戦力を持ってますね。
(まあ、不敗の覇王はさすがに別格かもですが)
しかし、何度も言うようにマクスウェルは別に世界征服だとか、強い奴を生み出したから被験体を作っているわけではありません。
こいつらの目的はあくまでも「干渉者」(神)に到達すること。
そのための材料であり、実験として作られているのが被験体なのです。
ちなみに第22被験体「王の体現者」はこいつらより強いの?と思われますが、断言します。
こいつらより強いです。
というか、「王の体現者」こそが文字通りマクスウェルの目的の到達点……ある意味、それを越えた存在となりました。