世界樹の理2

というわけで前回の続き。

 

エルドラシルが持つ理の大体の能力は説明しましたので、今度は戦闘面に関してのお話しをします。

というわけで前にどこかで出したような気もしますが、こちらがアルトサウディウスの初恋相手でもあるエルドラシルのイラストです。

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通常、理持ちというのはほとんどが強大な力をもった人物です。というのも彼らはいわゆる人の領分を逸脱した神たる存在なので、最下階位の理持ちでも異常な強さなわけですが、中には例外的な存在もいます。

それがエルドラシルであり、彼女自身の力は一般的な理持ちよりもはるかに脆弱です。特に彼女の階位は第三階位、これは理の階位で言えばかなりの上位に位置します。しかし、この階位が表しているのは彼女の戦闘能力ではなく、「永劫」の理の優秀さです。前回の記事でも言ったように世界機構や不老不死性としては理の中でもかぎりなく上位の能力ゆえの階位付けです。

彼女自身の戦闘能力は見た目相応の少女のものです。とは言え、仮にも理持ちではあるのでただの人間や武器などでは傷を負わせることは不可能です。

最低でも同じ理持ちでもない限り彼女に傷を負わせることは不可能です。

で、肝心の彼女が戦闘能力0のため、もしも同種(理持ち)の敵に攻撃をされた場合、なすすべもなくやられてしまうので、そうした彼女と彼女の世界を守るためにユグドラシル・ロゴスが生み出した防衛システムが「ネロ・システム」

これが戦えないエルドラシルの代わりに、理持ちに匹敵する戦闘兵器として生み出された獣(システム)達です。

ケルベロスレヴィアタン・ククルカン・フェニックス・ベヒモス・バハムート・ジズ・そしてウロボロスの八体。

これら八体の獣はそれぞれが理における十二~九階位までの下位理並の戦闘能力を持っています。中には六・七階位と言ったひとりで世界を滅ぼせるほどの力を持った獣もいます。

このうち、ケルベロスレヴィアタン・ククルカン・フェニックスは春の剣聖で登場しましたが、残りのベヒモス・バハムート・ジズ・そしてウロボロスは未登場でした。

というのも実はこれらも続編のプリマヴェーラで出そうかと思っていましたが、没ったので、ここでネタばらし。

まず、最初にエルドラシルの世界を管理するべく任されたのが、ベヒモスを筆頭としたバハムート・ジズの三人の獣でした。

このうち、ベヒモスは全獣システムの中でも最強の戦闘能力で階位で言えば五・六とまさにエルドラシルが持たなかった戦闘能力をそのまま代わりに引き継いだ感じです。

この時、ベヒモス・バハムート・ジズの三人は他の獣システムよりも特殊なシステムであったために人間を器として、まさに守護者のように世界に存在しておりました。

本人たちは普段は人間そのもので、自分たちが獣システムを宿しているのも知りません。ただ、世界になんらかの異常や、外敵からの攻撃を受けた際、彼らの中にあった獣システムが起動し、世界防衛システムとして覚醒して、その異常の原因・外敵の排除に取り掛かります。(このうち、フェニックスなどもこれにあたり、フレイやルフォードなどに獣システムが宿っていたのも、これと同じ理屈です)

剣聖システムが獣システムを元にしていると言われているのはまさにそのとおりだからです。本来は、この獣システムが剣聖システムを兼ねたシステムだったのですが、後のある出来事により、獣システムに変わるシステムとして剣聖が生まれることとなります。

それが神王の来訪。彼はこの世界に降り立った瞬間にすぐさまこの世界のシステムに気づきます。

彼の理は「統治」。世界や人々、あるいはそこにある理すら支配し統治するのが彼の目的であり感情そのものでもあるので、それ以外の行為など行うはずはありません。

なので、彼が行う「統治」に関して、最も邪魔だと感じたのがこの「獣システム」です。

この獣システムさえ破壊してしまえば、あとは戦闘能力皆無な世界システムを永劫に続けてくれる機械として優秀なエルドラシルが残るのみです。

このため、彼が真っ先に考えたのは防衛システムである「獣システム」の破壊と抹消。

中でも一番厄介だったのは、現在世界を守護している三獣の筆頭であるベヒモス。

クレイムディアの理の階位は第六階位であり、ベヒモスと同じか下手したらベヒモスが上です。

このため真っ向から戦おうものなら逆にやられます。なにしろ数においても相手が優っているのですから。

そこでクレイムディアが考えたのが自分の理の特性、すなわち「統治」による現在の三獣たちの「逆支配」でした。

エルドラシルの「永劫」も特殊な理でしたが、クレイムディアがもつ「統治」の理もかなり特殊な理です。その名が示す通り彼の理の能力はあらゆる存在を統治すること。

それはまさに絶対不変のカリスマによる従僕と永劫の誓いにも等しいです。これは同じ理持ちにおいても発揮され、対象がよほど上位の理か、その理の意思を強く持たねば飲み込まれるほどです。

そして、獣システムがまだ“神王が外敵として認識していない”状態の際に、三人の獣システムを宿す人間はこのクレイムディアの洗礼をモロに浴びます。

具体的に言えば、自分の血肉を分けてその理の力を与えるほど。

これによりその三人の獣システムを宿した人物たちは、神王の眷属でありながら獣システムの力を宿し、文字通り理持ちに匹敵する存在として生まれ変わります。

これがいわゆる「三王(三柱神)」の誕生でした。

(ご存知の方もいるかとは思いますが、ベヒモスは大地の獣、バハムートは海の怪物、ジズは空の怪物と言われ三頭一対とされています。ここではその設定を踏まえて、それぞれベヒモスが地王、バハムートが海王、そしてジズが空王となります)

この後、三王を従えた神王は本格的な世界の統治に乗り出し、ここに来て世界システムはようやく神王が自分たちの世界を乗っ取ろうとしている“外敵”であると認識し、残る獣システムをすぐさま起動させます。

この時、生み出されたのは人間の器を持たないシステムの塊である“獣”の化身であったため、彼らには話し合いどころかクレイムディアの統治も効きません。これは世界システムによるクレイムディアが持つ統治に対する対抗処置でもありました。

(春剣中、本来の姿に戻ったレイドが人間としての人格を全く持たず、文字通り獣めいていたのも、実はこれが理由です。下手に人間的な感情を持ってしまえば統治の支配下になるため、ああした形でレイドは生まれたわけです)

しかし、時すでに遅く、ベヒモス(エルドラード)・バハムート(ノア)・ジズ(エデン)と言った強力な眷属を引き連れた神王にはもはや残った獣システムでは歯が立ちません。

というよりもエルドラードの力がここに来てチートになってしまったからです。ただでさえエルドラシルのシステムの中でも最強の獣システムだったのが、神王の洗礼でさらに強くなって統治されているのですから、もうどうにもなりません。この時点で理の階位で言うなら上位二~四くらいになってます。

このため、ケルベロスレヴィアタン・フェニックス・ウロボロスは完全に破壊されてしまいます。

しかもこの時、クレイムディアが統治の能力によりエルドラシルのシステムに侵入して未来において獣システムが完全に再生しないように細工を施してしまいます。

これにより本来は長い時間をかければ未来において、また再び獣システムが完全な形として復活するはずがもうできなくなり、できたとしてもそれは不完全なシステムとして人の中に再現する形となりました。

(これがいわゆるルフォードやフレイなどと言った人物に宿った獣システムの正体です。実は彼らのあれもオリジナルでありながら、本来の獣システムのかなりの劣化姿だったのです。本来であれば剣聖最終段階並に強力な力を発揮できたのですが、それをされるとクレイムディアの統治にヒビが入ると思い、彼がこうしたのです。結果としてクレイムディアが死亡したあと、世界を防衛するはずの強大なシステムが不完全の壊れたままの放置となり、これがヴァイスの指摘する神が犯した最初の過ちとなります)

この時、唯一生き残ったのがククルカンであり、彼だけは死の寸前に姿を消し、その機能が万全に回復するために身を隠します。

つまり、エスペ無印で唯一生き残っていた本来の正しい形としての獣システムがレイドだけだったのです。しかし、その後、機能を取り戻したレイドはフォルクスの強大な力を感じ取り世界の敵として認識して排除にしかかろうとしますが、逆にフォルクスから獣システムの一部を破壊され、獣として不完全な状態となり、その後は春剣の本編へとつながっていきます。

さて、その後、全ての獣を退け、三王を支配下においたクレイムディアは統治を磐石にしようと自分の後継者を求めるようになります。

クレイムディア自身は優秀な理持ちですが、彼は残念ながら不老不死ではなく、いつかは理の寿命が来て死にます。このためできるなら自分と同じ理を宿す者を産ませようとしたのですが、生まれてきたのは彼を遥かに上回る「欲望」の神アルトサウディウス。

その後、どうなったかはエスペ無印の伝承の通りです。

この後、残ったエルドラードもアルトサウディウスと相打ちとなり、空王・海王も時代の流れと共に静かに表舞台から消えます。

ただこれらを記録として観察したユグドラシルロゴスはアルトサウディウスというある意味、神王よりも強大な驚異を認識します。

しかも、それを自分の中に取り込んだために未来においても発祥してしまいます。

本来なら獣システムでそれをどうにかするはずが、神王の勝手なアクセスや破壊のせいでそれができなくなりました。

そこで世界システムが考えたのが「そうだ、なら新しい防衛システムを作ろう」でした。

そうして生まれたのが獣システムをもとにした新たな防衛システム「剣聖」です。

以上がエルドラシルの理の全てであり、神王が犯した大きな間違いでもありました。

何度も言いますが、神王は神としては優秀ですが、人としての人格はマジで最低です。

 

最後に、春剣中にガルムが語ったウロボロスという名の獣システム。本編中ガルムはこれを架空の獣と言いましたが、それはオシリスと同様にその存在が明確に確認されなかったためです。というのも他のケルベロスやフェニックスは不完全ながらも未来において人の中で宿されたにもかかわらず、このウロボロスだけは神話時代に破壊されて以降、一度も再生されていないためです。

それはウロボロスだけが念入りに破壊されたこともありますが、このシステムを宿せる人間が生まれなかったためでもあり、春剣の続編ではこれを始めて宿した人物を登場させる予定でしたが、まあ、これに関してもいつかどこかで登場させたいです。