世界樹の理1

エスペランサーセイバーにおいて重要な用語であり、存在「理」について。

前にどこかで言ったような気もしますがエスペ世界では「理」とはすなわち「神」を意味します。

 

「理」とはその単一の感情・あるいは目的を突き詰めて、悟りに至った者達が得る領域。

つまり「剣」という事象を極めようと、自分の人生や命、全てを通してそれのみを行い、それを突き詰め、その「剣」という事象における人の魂の領域を超えて悟りに至れば、その人物は「剣」という理を宿し、人神と呼ばれる神になります。

 

このため、同じ理持ちの神と言っても、その人物によって宿している「理」が違うため、強さや感情、考え方はおろか、人への影響から自身の寿命、己の理による特殊能力など様々に異なります。それこそ星の数ほど。

この辺はエスペセイバーのリプレイ「世界を繋げる者」編で、ガディムとなったヴァーミリオンに対するセリフでも言っていますね。

エスペセイバーにおける神と呼ばれる人物の多くが、このように様々な理を持ってそれに従っています。

もちろん、エスペランサー無印にも、こうした理を持った神は存在しました。

というよりも世界があるということは、それを生み出した神=理持ちがいると考えてOKです。

 

まずエスペランサーの世界であるエル=ユーナ。世界樹に支えられたこの世界を生み出したのがエルドラシル。彼女は第三階位「永劫」の理を持つ神です。

彼女の場合、生まれた瞬間からこの「永劫」の理を持って世界を創世しました。

理を持つ人物には大きく分けて二種類。先天的に理を持って生まれる者と、あとから自ら理を会得して神となる者の二種類があります。

エル=ユーナにおける理持ちはほぼ前者です。

ちなみにエルドラシルの理の能力とは自己の世界をその理のとおり、永劫に続ける能力。これは数ある理の中でも最も不老不死と呼ばれる能力に近いです。

どのような強大な神(理持ち)であろうとも、寿命は存在します。

ですが、エルドラシルは他からの干渉を受けない限り、彼女だけでなく、彼女が生み出した世界も未来永劫に続いていきます。

それがエルドラシルが生み出した世界システム世界樹の理(ユグドラシルロゴス)」の能力です。

この辺はエスペセイバーのクレイムディアとイシュタルの会話で言っていましたが、たとえば、エルドラシルを除く世界の全てが滅び、人間も大陸も大地も全てが消滅したとします。それでも数百年も放っておけば、世界は自動的に再生され、人間や大陸も以前と同じ状態で再構成されます。

これはほかの理にはない能力と言っても過言ではありません。エルドラシルが健在なら、彼女が生み出した「世界樹の理」の力によって、そこに記録として保存された世界や人間のデータをそのまま再構成できるのです。

ただ勿論欠点も存在します。それがイシュタルやクレイムディア、そしてヴァイス、ガルムすらも指摘した「過去に記録された悪行もそのまま再生してしまう」という点。

エルドラシルの世界再生能力は他のどんな理の神よりも優秀です。普通はなくなった世界をそのまま再生させるのはかなり不可能に近いのに、エルドラシルはそれを寸分違えずできます。しかし、寸分違えず出来てしまうからこそ、エルドラシルの世界では原罪がそのまま未来においても再現されてしまうのです。

これについてはイシュタルとクレイムディアとの会話でも出ていました。エルドラシルの世界で死した者はそのままエルドラシルの理に記録という形で閉じ込められ、それをそのまま未来において再構成されてしまうのです。

そのため、魔王アルトサウディウスが死しても、彼の持った能力、魔王の呪いがずっと人々の中で発症したのもそのためです。

エルドラシルの理はそうした災いすらも再現してしまう。マクスウェルのレプリカと言った概念が容易に起きているのも、こうしたエルドラシルの理の世界ゆえに起こりやすくなっているとも言えます。

なので、今更ですがヴァイスがやろうとしていたのは、こうしたエルドラシルの理に深く癒着していたあらゆる汚れを一旦取り除こうとしていたことなのです。

彼は別に世界そのものを破壊したかったのではなく、世界を白く染め上げる、つまりこうした「世界樹の理」のデータ内に記録された魔王の呪いだとか、人の原罪だとかそうしたものを全部消去しようとしていたのです。

パソコンでいうところの初期化です。

なので、もしもヴァイスのこの計画が成功していれば、一度世界や人々も全部消えてリセットされますが、「世界樹の理」の中に記録された魔王のデータだとか、呪いだとか、そうした負の情報も全部消えます。

その後は、「世界樹の理」の能力によって再び世界や人々は再生されますが、もうその世界では今後一切、魔王の呪いや魔族と言った争いの元凶とも呼べるものは一切なくなります。

また世界で最初に争いを起こしたとされる魔王や神王達のデータも消されているので、基本的にその世界では戦争とかも起きません。(ただし、誰かが意図して戦争を起こそうとすれば別ですが。滅多なことではそうした“考え方そのものが”人の意識には発生しません)

たまにリセットされたその世界でも争いや欲望が起きるんじゃ?と思われる方もいますが断言すると起きません。

もともとエル=ユーナがそのような争いの歴史になったのが神王を始めとする魔王などが「争いの記憶」を世界に残したためです。

こいつらは人ではなく神(理持ち)。それも外部からやってきた連中が勝手に世界にそうした記録を刻んでいるのですから、エルドラシルからしたらいい迷惑です。

というよりも本来、エルドラシルの世界では自然や動物、美しい平穏な世界のみが永劫に広がる世界でした。つまり永劫の楽園のみの世界。それがエルドラシルの本来の世界(理)なのです。

もともとこの世界には人間はいなかったのです。

そこに勝手にル=ヴァルとかいうやつが人間を移住させて、住まわせたのです。

エルドラシルからしたら自分が作った理想の楽園に、なんか人というよく分からない生命が住み着いたんだけど?という感じです。手つかずの星に勝手に移住してきたエイリアンかな?

しかも、そいつらエルドラシルの血肉である世界を消費しながら生きているので普通なら「なに人様の楽園に勝手人間住まわせてんじゃー!?」とブチ切れるでしょうが、エルドラシルはそうはなりません。

むしろ、これも作中で言ってますが彼女自身は人間が来てくれたことを喜んでいます。仮に彼らによって自分の世界(理)を消費されたとして、彼らが自分の作った楽園で楽しそうに暮らしてくれるなら、とても嬉しいのです。

たとえるなら、とっても素敵なジオラマを作ったけれど、そこにお人形さんはなく形の良いジオラマがあるだけ。

けれど、ある日そこに知らない妖精さんがたくさん住んでて「このジオラマすごく住心地いいねー^^」と喜んでいるのを見ている感じ。

人によっては「何勝手に住んでるんじゃー!!」と怒る人もいるけれど、人によっては「わー!私の作ったジオラマ妖精さんが住んで喜んでるー!嬉しいー!もっと頑張るー!」ってなるやつです。

で、まあここまでは良かったのですが問題はこの後に来た神王クレイムディアと魔王アルトサウディウスが残したクソみたいな傷跡ですよ。

クレイムディアは自身の『統治』の理でエルドラシルの理を勝手に改変したりいじったりして、完璧だった世界システムに歪みを生み出したり、アルトサウディウスにいたっては『魔王の呪い』を始めとするクソみたいな呪いが世界に感染して、その後その世界に住む人間達にも発症するようになりました。

エルドラシルからしたら発狂ものですよ。

せっかく自分の楽園で楽しく暮らしていた妖精さん達がいきなり変な呪いにかかったり、争い始めるんだから。しかも、それらが『永劫』の理にこびりついたので、未来においてもそれらがずっと繰り返し発症されるのです。そりゃヴァイスもキレるわ。

あとこれもコメントで書いてましたが、そもそもクレイムディアの『統治』の理が干渉者の力を生み出した原因なので、そうしたクレイムディアやアルトサウディウスの痕跡が消えれば、当然のように後の世界においても干渉者や世界システムに干渉に出来る者も出てきません(というか本来、世界システムに干渉できるやつがいること自体がおかしいのです)

また当たり前のことですが、リセットされた世界ではマクスウェルとかいうクソも生まれません。

というか今考えたらアルトサウディウスも魔王の呪いや争いなど、色々と厄介なものを残しましたが、干渉者やマクスウェルが生まれる原因を作ったクレイムディアが諸悪の元凶だな…。やっぱこいつ最低だよ。

まあ、なのでリセットされた世界では本来の楽園としての機能を取り戻したエルドラシルの世界で、そこに移住した人間達が日々穏やかに暮らします。

本当なら、人間達も後からやってきた"外部者”なので人間を全部消し去るのが『本来のエルドラシルの理想世界』なのですが、それはヴァイスもやりません。

母のことを考えるなら、母の世界に寄生する人間も全て浄化するべきですが、これも何度か言っているようにヴァイスも本来は人間がとても好きなので彼らが穏やかに暮らせる世界が一番だと考えています。これも母エルドラシルと同じ考えですね。

なので結局のところヴァイスの行動は全て『人間を救う』ということに一貫しています。

(まあ春剣中では性格悪いんで、好かれる要素ないんですけどね)

ちなみに魔王であるヴァールやフォルクスなどの魂も人間と同じように『魂の海』にそのデータが保管されているので、彼らも人間として転生されます。これが良くも悪くもエルドラシルの『永劫』の理とも言えます。

消えるのはあくまでも魔王や魔王の呪いと言った負の概念のみ。

だから、百年経っても千年経ってもそこに映る世界は良くも悪くも変わらない世界です。

ただし結局はこの後、星王イシュタルによる侵攻があり(星の伝承記)世界はエスペランサーセイバーの歴史に突入しますが、まあそれまではとても穏やかな日々を世界を過ごせるでしょう。

 

思ったよりもエルドラシルの理そのもので長い説明になってしまいました…。

といっても、まだエルドラシルの理自体も全部説明できてないのですが(汗)

(主に戦闘能力に値する防衛システム「ネロシステム」とか…)

まあ、続きはまた次回ということで。