そういえば、アルトサウディウスはエルドラシルに惚れていたから世界を壊して、エルドラシルを手に入れようとしたのですが、おそらく長い歴史の中で唯一エルドラシルを「一人の少女」として見ていたのはアルトサウディウスだけだったかもしれませんね。
というのもエルドラシルは生まれながらの理持ち=神のために、生まれると同時に世界樹を生み出し、その上にエル=ユーナという世界が生まれました。
基本的に彼女=世界という認識で、これは後にこの世界に降り立った神王クレイムディアもそうであり、ほとんどの人物がエルドラシルのことを少女というよりもまず「世界」あるいは「神」として考え、そこから彼女について語っているんですよね。
まあ、その認識は間違いではないですし、そもそもエルドラシルの姿を見た人物なんて、それこそ数えるほどですからね。
冷静に考えるとエルドラシルの姿を見たのって誰だろう……。
えーと、まず神王は見たと思います。
ただあいつの場合「ふーん、こいつが世界神エルドラシルねー」で終わったと思います。
ぶっちゃけあいつからしてみれば自分が支配する世界を支える柱程度にしか思ってませんから。まあ、それでもエルドラシルが死んだりしたら世界も消えるんで、神王にとってはエルドラシルが存続してくれるのが一番ですが。
その後はアルトサウディウスとファルナスですかね。
ファルナスについては、弟のアルトと同じようにエルドラシルに恋しますが、結局ファルナスはエルドラシルは世界神であり、この世界を支える神でなくてはいけないと身を引くんですよね。
なので、結局はエルドラシルを「少女」としてよりも「世界」として手放してしまった。
あとはイシュタル。こいつは論外。
他には時代がかなり飛んでエスペセイバーの星の伝承記の面々か。
まあ、こいつらも飛ばそう。
となると、やっぱり結局のところ、エルドラシルを神ではなく一人の少女として見て、そんな彼女を手に入れようとしたのは後にも先にもアルトサウディウスのみか。
ちなみにエルドラシル自身は自分の理の寿命が尽きるまで、世界そのものとなり、世界を支え続けるつもりでした。
ぶっちゃけ、今エル=ユーナにいる人間達って、あとからエルドラシルの世界に来た連中で、勝手にエルドラシルの世界に住み着いてるんですよね。
エルドラシルからしてみれば、自分の世界を作ったら、なんかそこに知らない人間が大勢引っ越してきて、勝手に住んでるんだけど。状態なんですよね。
まあでも、それを含めてエルドラシルは人も世界も愛しており、そこにいる生命をずっと見守ろうと決めておりました。
なのでエルドラシル自身も自分を少女とは思っていないですし、世界そのものと思って世界維持のために寿命を費やしていました。
けど、それに対してアルトサウディウスのみが「は?いや、ふざけんな。お前の命はお前だけのものだろう。お前は世界じゃない。一人の少女だ」って言って世界壊して、エルドラシルを手に入れようとしたんですよね。
これだけ聞くとまるで主人公みたいですけど、ぶっちゃけあいつのこの行動も「欲望」そのものであって、普通に世界滅ぼそうとしてたとんでもない奴なんですけどね。
ただそんなアルトサウディウスの行動はエルドラシルからしたら、どうすればいいのか戸惑う感じだったのかもしれませんね。
一貫して自分を世界ではなく、一人の少女として見続けた男。
ただエルドラシルからしたら自分の世界を捨てて、アルトサウディウスのもとに行くってのは絶対にできないでしょうね。アルトサウディウスが「欲望」という理に従っていたように、エルドラシルも自分の世界を支え続けるのが彼女の理だったので。
あ、ちなみにファルナスとエルドラシルがくっついてヴァイスが生まれたのはアルトサウディウスが滅んでしばらくですね。
これはファルナスが「アルトサウディウス(弟)があそこまで惚れ込んだ神ってどんな人だろう……」って会いに行って、それでまんまと惚れたってパターンです。
ちなみに、アルトサウディウスがそのことを知っても「ふーん」で終わります。
ぶっちゃけ他の奴がエルドラシルに惚れようが、それでエルドラシルとの間に子供ができようが、アルトサウディウスからしたらどうでもいいことなので。
彼にとって重要なのは自分がエルドラシルに惚れているという感情のみ。
なので別にファルナスに対して敵意を持ったりとかもないですね。
というか私の中でアルトサウディウスってかなり単純というか、いい意味で純粋。悪く言うと自分の気持ちしか考えてない奴なので。
ふと、そんなことを思い、エスペの戯言を書きました。
またなにか思いついたら書きます。