エスペ戯言7

・神王の目的

ということで、ここでは散々諸悪の元凶として言われている神王クレイムディアですが、そもそもなんでこいつがこんなことをしたのか?

というか、なぜル=ヴァルがクレイムディアをエル=ユーナの統治神として配置したのか普通だと疑問に思う点もあります。

結論から言うとクレイムディアの行いこそが神々の目的に繋がっていたからです。

というのもル=ヴァル含める一部の上位神の目的が『人類を理の領域に引き上がる』のが目的だからです。

これはいわゆる『人間としてステージを次の段階に上げる』という、よくある神々の目的の一つです。

そもそもエスペ世界の人間というのが、神の子供という立ち位置で、言ってしまえば人類は神の劣化品。なので、それを本来あるべき状態、あるいはそれ以上の存在へと成長させるのが目的でもあります。

そのため、ル=ヴァルは人間をエル=ユーナの世界へ移住させましたが、ここで一つの問題が起こります。

それがエル=ユーナが『完成された楽園』だったということ。

すでにこのブログを読んでいる方なら周知の事実ですが、本来のエル=ユーナは争いどころか原罪すら存在しない完璧な楽園です。

それこそ神々が存在する世界に匹敵、あるいはそれを上回るほどの完璧さです。

ですが、この完璧すぎる楽園が逆に欠点となったのです。

すでにお察しの方もいると思いますが、この完璧すぎる楽園では『人間が成長する余地がない』のです。

これは非常に皮肉なことですが、あまりに世界が完成されすぎているので、そこに暮らす人々は平穏な日々を生涯過ごします。

そうなると当然、そんな世界で人間の成長、特に魂レベルにおける成長は起こりません。

人が神の領域、すなわち理の領域に上がるにはこの魂の成長無くして絶対にありえません。

そこでル=ヴァルが行ったのが神王クレイムディアの配置。

そして、神王はその期待に見事に応えたのです。

つまり、完璧な楽園である世界システムの破壊。そして、その後原罪を含めた世界に争いという事象を残し、人々が戦い続ける今のエスペ世界が出来上がったのです。

 

なのでこれまで散々クレイムディアはクソ。と言っておりましたが、こいつのやっていることにはちゃんと意味があったという話です。

というよりも、こいつがいなければそもそもエスペの世界自体が始まらず、それに伴うエスペランサーという希望も生まれませんでした。

実際、こうしたエスペランサー達が生まれたというのは人間が神話の時代よりも魂がはるかに成長したという証です。

最終的にはここから理に至る人物が誕生すればクレイムディア、ひいてはル=ヴァルの目的達成ということになります。

ただこのエル=ユーナで理を宿す者が生まれるというのは非常に難しく、それこそ不可能の領域に近いというのは前にどこかで言ったかもしれません。

ですが、そんな世界でなお人の成長が、エルドラシルの理を上回り、そこから新たな理が生まれれば、それはル=ヴァル達の理想通り、人が次の段階に進化したという証明になるのです。

ちょっとネタバレになりますが、実は確定されし滅亡も、こうした人が次のステージ、新たなる進化へと至るための道筋の一つだったりします。

無論グレストや今世界に住む人達からすれば、それは滅びに見えるかもしれませんが、もっと大局的な目――つまりル=ヴァルなどの至高神クラスの目で見ると、それは紛れもなく人が『新たな領域』へと進化しているということに繋がるのです。

ここらへんは本当にエスペ世界あるあるの、上位の存在になるほど見方が変わるというやつですね。

 

なので、なぜクレイムディアがエル=ユーナの世界システムにこんな致命的な欠陥を残したのか、実はファルナス含めヴァイスすらもその真意には気づいておりません。

ちなみに、今のエスペ世界がこのようになった元凶が神王クレムディアという事実もファルナスとヴァイスくらいしか知りません。

その二人もなんでクレイムディアがそんなことをしたのかと問われると、ファルナスは「あの人(神)はそういう人(神)ですから……」とそもそもクレイムディアの思想が神すぎるということで自分たちとは違うと理解を諦めてます。

一方ヴァイスは「神王はクソ」とブチギレしております。なので、上記のクレイムディアの真相に関しては当然知るはずもなく、だからこそヴァイスはエル=ユーナを本来あるべき原罪なき楽園の姿に戻そうとしていたのです。

ですが、仮に原罪なき楽園に戻ったとしたら、確かにそこに住む人々は幸せに穏やかな日々を過ごしますが、言った通りその世界では人の成長は見込めないので、当然人が成長することはおろか理に至る人物なども現れないということですね。

これもまた非常に皮肉な事実となります。

ぶっちゃっけこうなると、どちらが正しいのやらという話になりますね。

 

なので、神王は人間視点(というか主にヴァイス)から見るとそりゃもうクソですが、神という視点から見ると滅茶苦茶有能なんですよね。これも前に何度か言いましたね。神王は神としては優秀。つまりはこういうことです。

あ、ちなみにそうした裏事情は当然エスペ世界の人間は知らないので、この世界を統治した偉大な神ということでクレイムディアはセファナードをはじめ色んな国で信仰されております。

 

ちなみにル=ヴァルの最終的な目的としては『理』そのものを超越して欲しいと考えております。

いわゆる至高階位に至ることで、宇宙そのものの法則を変えることが出来るのでル=ヴァルとしてはそこまで人が成長することで母であるラム=リファーナを越えた世界を人間が作って欲しいと願っているのです。

そんなこと出来るの?と思われるかもしれませんが、実際エスペセイバーでそこまで至ったエスペランサーがいたので可能です。

 

まあ、最終的には全人類が理に至れば、それで人類の進化は果たされ、人類は新たなステージに移行出来ると思います。

 

・本来あるべき世界

というわけで、そもそもエル=ユーナ自体が閉鎖された楽園なので、それを壊す必要があったのです。

これも前に何度も言っていますがエルドラシルの理はそれほど異質なのです。

では、本来あるべき世界とはどんな姿か?

 

それがエスペランサーセイバーの姿です。

これはエスペセイバーの世界地図を見ればなんとなく分かりますが、エスペセイバーでは複数の世界というか理が混在しております。

あれ、地図だと大陸に見えますが違います。あれ「世界」です。

つまり世界の中にいくつもの世界があるのです。これ本来のエスペ宇宙に存在する世界のあり方です。

分かりやすく言うと地球の中に火星があったり、水星があったり、土星があったりするということです。しかも一緒の世界なので、地続きで渡ったり海を渡ってその世界に行くことが可能。

 

どういうこっちゃ?そんなのが可能なの?と思われますが、それを可能としているのが「理」なので、そういうことなのです。

実際、エスペセイバーでは「東源郷」なる世界がエスペセイバーにありますが、この「東源郷」の大きさは旧エスペランサーのエル=ユーナ(エルドラシルの世界)のおよそ五倍以上だと考えていいです。

それがなぜか世界に一緒の世界に収まっているのです。それがエスペ世界の本来あるべき姿。

 

なので、エスペ世界の宇宙では星から星へ移動する際、宇宙船とかで星の海を渡って移動するのではなく、その世界を支配する理の持ち主が「あ、あの世界いいな。じゃあ、オレの世界と繋げよう」と思った瞬間に、その2つの世界が融合して地続きで世界間の移動が可能となるのです。

この時、宇宙からその星を観測すると、一つぶんの星が二つぶんに膨らむ感じでしょうか。あるいは理パワーで外見はほぼ変わらず、だけど、中身の世界や大陸が増えているとかそんな感じでしょうか。

 

なので、本来の第三境界の星はそのように世界同士が繋がり広がるという特殊な世界となるので、人の成長もその分かなり多くの可能性があります。

なにせ自分の世界だけではなく、他の理の世界も繋がるので、その世界の影響を受けたりも出来ますので。

まあ、それが実際のエスペランサーセイバーの世界なので、セイバーの世界観は実に多種多様でいろんな可能性や世界があるので、無印よりも成長が期待できます。

ル=ヴァルがしたかったのも、エスペセイバーのようにエル=ユーナの世界が様々な世界(理)と繋げたかったのです。

 

前の記事でエルドラシルの優秀さを散々語りましたが、このように他の世界や理と繋げられないのは、彼女の理の致命的な欠陥とも言えます。

まさに「揺り籠」というのが彼女の理、世界に相応しい名前でしょう。

 

まあ、それはともかくそんな感じでエスペセイバーではいろんな世界や理と繋がる予定です。用語辞典では、カナンや星蝕界、サハラ、東源郷くらいですが他にもいろんな理の世界と繋がり、そことの話を広げたいと思っております。

あれ、もしかしてこの設定って案外ソシャゲ向き?